Traditional IRAとRoth IRAの比較: 利点と欠点

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IRA(個人退職基金口座)は、会社の年金制度に加入していない自営業者や中小企業勤務者のために設けられた貯蓄奨励制度で、納税者が銀行などの金融機関で開設できます。
個人の財務計画において、退職後の生活資金を確保するために年金や投資を検討することは非常に重要です。IRAの中でも、Traditional IRA(伝統的な個人退職基金口座)とRoth IRA(ロス 個人退職基金口座)は人気のある選択肢です。それぞれに独自の利点と欠点があり、どちらが最適か、両方加入するかなど選ぶ前に注意深く検討することが重要です。

Traditional IRAとRoth IRAの共通事項

年間拠出限度額
2023年においては、年間拠出限度額は、Traditioanl IRAとRoth IRAを合わせて、1人当たりは$6,500ドル、夫婦2人で$13,000ドルです。50歳以上の場合は、1人当たり$1,000ドルの追加控除が認められます。

拠出対象者
Traditional IRA又はRoth IRAに拠出できるのは、勤労所得のある人、およびその配偶者(夫婦合算申告をしている場合に限る)です。年齢制限はありません。

勤労所得範囲内での拠出
年間拠出限度額の範囲で、勤労所得額まで拠出できます。例えば、その年の勤労所得が$5,000ドルの場合は、$5,000ドルまでしか拠出することができません。

専業主婦のための配偶者IRA(Spousal IRA)-例外事項
自分で勤労所得を得ていない場合、Traditional IRA又はRoth IRAに拠出することができませんが、その例外として配偶者IRAがあります。夫婦合算申告をするという条件において、勤労所得のある配偶者が働いていない配偶者に代わって拠出することが認められています。

早期引き出しによるペナルティとその例外事項
早期引き出し(個人が59歳半に達する前の引き出し)には通常10%のペナルティが課されます。
しかしながら、いくつかの例外事項が存在しますので、その一部を紹介します。
例えば次の場合は、ペナルティなしで許可されています。
・60日以内に再び他のIRAに入金し、ロールオーバーした1場合。(1年に1回のみ)
・初めての住宅購入に使う場合で$10,000ドルまでの引き出しの場合。
・高等教育費用(Qualified higher education expenses)の支払いに充てた場合。
・失業補償(Unemployment compensation)を受領後、健康保険料の支払いをした場合。
・調整総所得の一定割合を超える未払の医療費の支払に充てた場合。
・出産または養子縁組の支払いで$5,000ドルまでの引き出しの場合。

Traditional IRAの利点

所得からの控除

Traditional IRAへの拠出額は、年次所得税の控除対象となります。これにより、拠出額を課税所得から差し引くことができ、税金を軽減できます。

ただし、所得制限があり、2023年においては、修正調整総所得(Modified AGI)が夫婦合算申告は$116,000ドルから$136,000ドルの間(独身は$73,000ドルから$83,000ドルの間)で、控除限度額が段階的に削減します。そして、修正調整総所得が夫婦合算の所得で$136,000ドル以上(独身は$83,000ドル以上)になるとTraditional IRAに拠出をしても税金計算上、所得控除が認められなくなります。

所得が高いために控除が認められなかったTraditional IRA拠出金がある場合、将来のTraditional IRA引き出し時には元金分については非課税、運用収益分については課税対象となります。控除されなかったTraditiaonl IRAについては、Form 8606(Nondeductbile IRAs)に記載するとよいでしょう。

税金の繰り延べ

Traditional IRA内での資産は税金が延長され、将来の引き出しまで、元金と運用収益に係る税金を支払う必要がありません。これにより、資産の成長を最大限に利用できます。

Traditional IRAの欠点

引き出し時の課税

Traditional IRAからの引き出しは、元金と運用収益に対して所得税が課せられます。退職後に引き出すことを計画している場合、引き出し時には通常の所得税率に従って課税されることに留意する必要があります。

必要最低分配額(RMD)

Traditional IRAには、必要最低分配額(Required minimum distribution – RMD)が設定されており、72歳から一定金額を引き出す必要があります。これにより、引き出しタイミングが一部制約されることがあります。

Roth IRAの利点

非課税の資産運用

Roth IRAには、税金を支払った後の資金を拠出します。その為、Roth IRA内での資産は非課税で成長します。つまり、将来の引き出しには、連邦税、州税が課税されません。将来課される税金を心配することなく、資産の成長を最大限に享受できます。

ただし、老後は米国外に居住するためRoth IRAからの出金を日本など米国以外の国で受け取る場合は、米国外で課税されることがあります。したがって、老後を米国外で過ごす計画のお持ちの方は、米国にいる間にRoth IRAを解約してから米国外に行くことをお勧めします。

引き出しの柔軟性

59歳半以降、少なくとも5年間アカウントを所有した後であれば、Roth IRA からいつでも資金を引き出すことができます。

Traditional IRAとは異なり、Roth IRAには必要最低分配額(RMD)の要件がありません。これは、引き出しのタイミングを制約せず、資産を遺産として後継者に残すことができる利点と言えます。

Roth IRAの欠点

税金の前払い

Roth IRAへの拠出は税金の前払いであり、拠出額は税金の控除対象になりません。つまり、現在の税金負担が増える可能性があります。

所得制限

Roth IRA に拠出するには、独身として税金を申告する場合、修正調整総所得 (MAGI) が 2023 年においては 153,000 ドル未満である必要があります。また、夫婦合算申告の場合は、228,000 ドル未満である必要があります。

このようにRoth IRAへの拠出には所得制限があり、高所得者には一部または全額の拠出が許可されない場合があります。

まとめ

Traditional IRAとRoth IRAの共通点として、年間拠出限度額や拠出対象者、勤労所得範囲内での拠出、専業主婦のための配偶者IRA、早期引き出しによるペナルティとその例外事項などが挙げられます。

Traditional IRAの利点として、所得からの控除と税金の繰り延べがありますが、所得制限があることに留意する必要があります。所得が高いために控除が認められない場合があります。そして、引き出し時に課税されること、引き出すタイミングが一部制約される必要最低分配額があります。

一方、Roth IRAの利点として、非課税の資産運用と引き出しの柔軟性があります。ただし、Roth IRAへの拠出は税金の前払いであり拠出額を所得から控除することはできません。また、所得制限があるため、高所得者には制約があります。

最終的に、どちらのリタイアメントプランを選ぶかは個人の財務状況や将来の計画に依存し、慎重な検討が必要です。税金、引き出し制約、所得制限などを考慮し、最適な選択をしてださい。

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