アメリカでの人材雇用:就労資格と給与関連税

Payroll

アメリカで人材を雇用する際に留意するべき要点について解説します。雇用プロセスにおいては、従業員のアメリカ市民権や合法的な就労資格の保有を確認する必要があります。また、従業員に対する適切な給与支払いや税金の処理も重要です。連邦およびカリフォルニア州での給与関連税について説明します。

就労資格の確認

アメリカで従業員を雇用する際には、その雇用の合法性を確保するために従業員の就労資格を確認することが求められます。従業員がアメリカ市民であるか、あるいは合法的なビザを所持した外国人であるかを確認する義務があります。これを怠ると、雇用主に罰金が科せられる可能性があります。 従業員は身分証明書や就労資格を示す書類を提出し、移民局(USCIS)のフォームI-9に必要事項を記入して署名します。雇用主は従業員が提供した証明書類を確認し、コピーを取ってフォームI-9に添付し、これを保管します。フォームI-9は移民局に提出する必要はありませんが、将来の監査や調査の際に提出が求められることがあります。適切な記録の保持が重要です。

給与に係る連邦税

  1. 連邦所得税: 従業員の給与より源泉徴収税として差し引かれます。これは連邦所得税の前払いです。従業員の給与額や給与支払いの周期に基づいて計算されます。IRS(米国内国歳入庁)の税務表や計算ツールを使用して計算され、従業員の所得レベルに応じて適切な税率が適用されます。従業員は給与が支払われる前にForm W-4(従業員の源泉票)を雇用主に提出しておく必要があります。記入内容に変更が生じた場合は、従業員は新たに記入したForm W-4を提出します。
  2. FICA税(社会保障税およびメディケア税): FICA税は、社会保障税とメディケア税から成る税金で、雇用主と従業員の両方が負担します。社会保障税率は12.4%(従業員と雇用主がそれぞれ6.2%ずつ)であり、メディケア税率は2.9%(従業員と雇用主がそれぞれ1.45%ずつ)です。社会保障税は年間課税対象上限額が毎年定められており、2023年度は$160,200です。メディケア税は上限なく適用されます。
  3. 連邦失業税(FUTA): 連邦失業税は、雇用主が支払う税金です。従業員1人につき年間給与額のうち$7,000部分が課税対象となります。税率は6%ですが、雇用主が年次連邦失業(FUTA)納税申告書(フォーム940)を提出する際に、5.4%のFUTA税額控除が適用されます。FUTA税額控除後の税率は、0.6%となります。

給与に係るカリフォルニア州税

  1. カリフォルニア州所得税: 連邦税と同様に、源泉徴収より従業員の給与から所得税が直接差し引かれます。カリフォルニア州の納税者が州政府に対して支払う税金です。
  2. カリフォルニア州障害保険(CA SDI): 従業員の給与から源泉徴収して支払われる税金です。2023年度のSDI源泉徴収税率は、0.9%です。給与総額のはじめの$153,164の部分につき0.9%を雇用主が給与から源泉徴収します。
  3. カリフォルニア州失業税(CA SUI): 連邦失業税と同様、州失業税は雇用主が負担します。従業員が失業した際に一時的に給付金を支払うための資金を提供する税金です。新規雇用主に対する税率は雇用開始2年から3年は3.4%です。その後の税率は、失業保険給付金として支払った金額に応じて変わります。毎年12月にEDD(Employment Development Department)より翌年のレートが通知されます。
  4. カリフォルニア州雇用訓練税(ETT, Employment Training Tax): カリフォルニア州雇用訓練税は、カリフォルニア州の企業の競争力を高めるための対象業界の従業員を訓練するための資金を提供するもので、雇用主が負担します。従業員の年間給与総額の$7,000部分につき0.1%を支払います。

法定福利費

カリフォルニア州州労働者火災補償保険(California Workers Compensation Insurance): 労働者災害補償保険契約は、対象となる従業員に、職場での傷害によって生じた医療および賃金代替(補償)給付を提供します。 補償の対象となるのは、通常の業務過程から生じた職場での傷害のみです。
カリフォルニア州労働者火災補償保険料の計算は、給与$100ごとに保険料が計算されます。2023年度の労働者報酬率は、労働者補償の給与額$100にあたり93セントです。
カリフォルニア労働法、第4部、パート 1、第 2 章、セクション 3352 に基づくと、次の労働者は、カリフォルニア州の労働者災害補償保険を免除されます。: 事業主・個人事業主(屋根業者を除く)、独立請負業者、雇用主と関係のある家事労働者、お金を払うのではなく、援助(食料、住居など)のために働く個人、非営利団体のボランティアを含む特定のボランティア 、副保安官と副書記官、アマチュアスポーツ大会に参加する学生・アマチュアスポーツ関係者。

まとめ

アメリカで人材を雇用する場合は、従業員の就労資格を確認し、アメリカ市民権や合法的なビザを保有しているか確認をする必要があります。

給与に係る連邦税
連邦所得税:源泉徴収税として差し引かれ、Form W-4提出が必要。
FICA税(社会保障税とメディケア税):雇用主と従業員が負担。
連邦失業税(FUTA):雇用主が支払う、従業員1人につき年間$7,000部分が課税対象。

給与に係るカリフォルニア州税
カリフォルニア州所得税:源泉徴収で所得税が差し引かれます。
カリフォルニア州障害保険(CA SDI) :従業員の給与から源泉徴収。
カリフォルニア州失業税(CA SUI) :雇用主の負担、税率は変動。
カリフォルニア州雇用訓練税(ETT):雇用主が支払い、年間給与総額の$7,000部分につき0.1%。

法定福利費
カリフォルニア州州労働者火災補償保険:対象従業員に傷害補償給付を提供。労働者災害補償保険料は給与$100ごとに計算。特定の労働者は労働者災害補償保険を免除されます。

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