アメリカでの教育費税額控除

Tax

アメリカの税制において、大学や専門学校に通う学生やその親御さん向けに提供されている教育関連の税額控除として、”American Opportunity Tax Credit”(アメリカン・オポチュニティ・タックス・クレジット)と”Lifetime Learning Credit”(ライフタイム・ラーニング・クレジット)という2つの主要なクレジットが存在します。これらのクレジットは、学費や教育関連費用に対する税金の軽減を提供するものですが、それぞれ異なる条件と特徴を持っています。

American Opportunity Tax Credit (AOTC)

対象者

American Opportunity Tax Credit (AOTC)は、高等教育の最初の4年間に資格のある学生に支払われる資格のある教育費に対する控除です。通常の4年制大学または専門学校の学生に対して提供されます。学生自身またはその親が利用できます。

必要条件

AOTCは、高等教育の最初の4年間をまだ修了していない学生を対象にしています。学位または、その他の認めれらた教育資格を取得しようとしていること、課税年度に始まる少なくとも1学業期間の少なくとも半分の期間に登録していること、4課税年度を超えてAOTCまたは旧 Hope クレジットを申請していないこと、納税年度末に麻薬犯罪で有罪判決を受けていないことが条件です。

税額控除額

授業料、入学金、学生が学習に必要な教材を合わせて、対象となる学生1人あたり最大$2,500ドルを税額から控除できます。

所得制限

2022年度においては、全額クレジットを請求するには、修正調整総所得 (MAGI) が $80,000ドル以下である必要があります。 (夫婦合算申告の場合は$160,000 ドル以下。) MAGI が $80,000ドルを超え $90,000 ドル未満の場合(夫婦合算申告場合は$160,000 ドルを超えて$180,000 ドル未満)、受け取れるクレジットは減額されます。MAGI が $90,000 ドル以上 (夫婦合算申告の場合は $180,000 ドル以上) の場合、税額控除を請求することはできません。

リファンダブル・クレジット (Refundable Credit)

AOTCは、リファンダブル・クレジットとして提供され、税額がゼロの場合、クレジットの40%が返金される場合があります。

Lifetime Learning Credit (LLC)

対象者

LLCは、通常の4年制大学に限定されず、あらゆる形態の教育を受ける学生やプロフェッショナルに提供されます。学生自身またはその親が利用できます。

必要条件

対象となる教育期間に登録して授業を受講していること、学位やその他の認められた教育資格を取得するため、または仕事のスキルを取得または向上させるために、高等教育コースを受講していること、課税年度から少なくとも1学期期間登録していることが条件です。

税額控除額

資格のある教育費の最初の$10,000ドルの20パーセント、または1回の税務申告につき最大$2,000ドルを税額より控除できます。

所得制限

2022年度においては、全額クレジットを請求するには、修正調整総所得 (MAGI) が $80,000ドル以下である必要があります。 (夫婦合算申告の場合は$160,000 ドル以下。) MAGI が $80,000ドルを超え $90,000 ドル未満の場合(夫婦合算申告場合は$160,000 ドルを超えて$180,000 ドル未満)、受け取れるクレジットは減額されます。MAGI が $90,000 ドル以上 (夫婦合算申告の場合は $180,000 ドル以上) の場合、税額控除を請求することはできません。

ノンリファンダブル・クレジット(Non-Refundable Credit)

LLCは、ノンレファンダブル・クレジットであるため、所得税額を軽減することはできますが、税金がゼロの場合、返金されません。

税額控除の請求に必要なもの

教育機関の雇用者識別番号(EIN)
American Opportunity Tax Credit (AOTC) 又は、Lifetime Learning Credit (LLC) を請求するには、教育機関の雇用者識別番号 (EIN) が必要です。

フォーム1098-T
また、これらの教育費税額控除を受けるには、納税者(又は扶養家族)は、適格な教育機関からフォーム1098-T、授業料の明細書を受け取っている必要があります。通常、学生は1月31日までに学校から Form 1098-T 授業料明細書を受け取ります。フォーム1098-Tに書いてある記載内容が正しいことを確認してください。正しくない場合、またはフォームが届かない場合は、学校に連絡してください。

ソーシャルセキュリティ番号 (SSN) 又は個人納税者識別番号 (ITIN)
AOTCまたはLLCの請求には、ソーシャルセキュリティ番号または個人納税者識別番号などの有効な納税者識別番号を持っている必要があります。
持っていない場合は、個人納税者識別番号(ITIN)を申請する必要があります。

留意事項

請求できる教育費用は、資格のある教育費(Qualified education expenses)である授業料やその他の関連経費で次の人によって支払われる必要があります。
・夫婦合算申告を提出する場合は、あなた又はあなたの配偶者。
・税務申告書上であなたの扶養家族となっている学生。または、
・親戚や友人などの第三者。

授業料については、課税年度中または次の課税年度の最初の3か月中に始まる学業期間の費用を支払った場合に対象となります。

次の経費は、教育費税額控除の対象外です。
・部屋代と食費
・保険費用
・医療費
・交通機関費用
・個人費用、生活費、家族費

スポーツ、ゲーム、趣味または単位取得不要コースの費用は、コース又は活動が学生の学位ブログラムの一部である場合を除き、税額控除の対象になりません。
しかしながら、Lifetime Learning Credit (LLC) の場合に限り、コースが学生の仕事スキルの習得または向上に役立つ場合は、これらの費用は税額控除の対象となります。

AOTCとLLCの両方のクレジットを同じ税務申告書上で請求することはできますが、同じ学生または同じ資格のある経費に対して請求することはできません。

次の場合はAOTCまたはLLCを請求することはできません。
・あなたの両親などの誰かが税務申告書上であなたを扶養家族として記載している場合。
・あなたが夫婦別申告 (Marriage Filing Separately) で税務申告書を提出する場合。
・あなた又はあなたの配偶者が1年のどの期間においても非居住外国人であり、税務上居住外国人として扱われることを選択していない場合。

まとめ

アメリカの税制において、大学や専門学校に通う学生やその親に提供される2つの主要なクレジット、American Opportunity Tax Credit(AOTC)と「Lifetime Learning Credit(LLC)があります。

AOTCは、4年制大学または専門学校に通う学生を対象とし、学生自身またはその親が利用できます。対象となる学生は、高等教育の最初の4年間を修了していない必要があり、他にもいくつかの条件を満たす必要があります。授業料や教材などに関する費用に対して最大$2,500ドルの税額控除が提供され、所得制限も設けられています。また、AOTCはリファンダブル・クレジットであり、税額がゼロの場合には一部が返金される可能性があります。

一方、LLCは4年制大学に限定されず、あらゆる形態の教育を受ける学生やプロフェッショナルを対象としています。必要な条件や控除額、所得制限などがあり、LLCはノンリファンダブル・クレジットであるため、所得税額を軽減することはできますが、税金がゼロの場合には返金されません。

税額控除を請求するために必要な情報や書類あり、税額控除を請求できない場合についても説明いたしました。

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